ブリッジSEもどきの備忘録

タイトルと内容に特に関連はない

2019年海外勤務のなんやかんや

この記事はmohikanzアドベントカレンダー24日目の記事です。
前日の記事はexpajp先生のDDD本読書会の感想です。

さて、僕は社会人4年目ですが今年からベトナム中部のダナンという都市で海外勤務を始めました。
自分が異邦人として扱われるのは幼少期以来で、なおかつ生活基盤を自分で構築していくというのは初めての経験なのでこの機会に振り返ってみようと思います。
大事なことですが、この記事で書かれているベトナム人への感想はあくまで個人の意見です。
なお、この記事が投稿された次の日には日本に一時帰国します。

タイムライン

2019/01

今年に入った時点ではグループ会社に出向中。
本社の新年会に顔を出したところ、現上司・ベトナム支社の社長から「出向のスケジュール決まったから」と内定のお達しをもらう。

2019/02~03

グループ会社出向期間の終了が近づいてきた&担当案件のリリース間近だったので無事に終わらせられるように奔走。

2019/04

本社復帰。
期初時点でオフショア推進室へ異動になってなくてキョドる。
GW終了から出向開始だったので予防接種などをハイペースで受けることになる。
月末あたりから友人達が壮行会的に飲み会を開いてくれていたので結果的に2週間くらい毎日飲み会だった。
某CMで「今、シンガポールにいます」っていうのはなんで事前に連絡してないの?っていうマジレスをしてもいいと思ってる。

2019/05

今年はGWを満喫する権利を手に入れてご満悦。
出向すると基本的にベトナムのカレンダーに合わせるので来年はGWがなく、その間に社員旅行とかが入るらしくめんどくささっそく異国の洗礼を受ける。
赴任直後はまだ家の契約が完了していないと言われ、2週間程ホテル生活をすることになる。
赴任直後の飲み会で早速カエルの肉やバロット(孵化寸前の卵のゆで卵。見た目のグロさに定評がある。)などの慣れない食べ物の洗礼を受ける。
あと基本的にベトナム中部の食べ物は辛いということを知る。
5月末には自宅の準備が完了。
55m2の1LDKで一人暮らしには広い程の部屋を会社持ちで住めるっていうのはいいな!
家賃(水道・ネット使用料込、週2でハウスクリーニング)の負担がない、会社から徒歩10分というのはかなりQoLが上がることが判明。

2019/06

ベトナムは乾期なのですごく暑い。
ちょっと慣れてきたので、休日にビーチに遊びに行く。
ベトナムのビールは基本味が薄い上に氷を入れるせいで水みたいになるのだけど、浜辺で飲むとこれが美味く感じる。
ビザ更新のために日本に数日帰国する。
再度ベトナムに戻って、滞在許可の申請などの処理中に会社に預けておいたパスポートをロストされかける。
「これはハノイまで30時間耐久陸路の旅か...」と覚悟を決めかけた辺りで奇跡的に発見される。
この時期から会社の人間であっても極力自衛した方がいいのでは説が出てくる。

2019/07

ベトナムは1~6月が上期、7~12月が下期で、月初に下期キックオフパーティーが実施される。
本社のお偉いさんやインドネシア拠点のお偉いさんがきたりする中、末席に下っ端が座らせられて居心地が悪い。 現地メンバーと飲んでるフリして日本人だけの二次会をサボろうとしてたら呼び出しをくらい連れて行かれ無念。
ダナン拠点でのキックオフパーティーの翌日はハノイに飛んで同様にキックオフパーティーに出席。
ハノイ人の方がダナン人よりも酒の飲み方が大人しいことを知る。
ついでにハノイ拠点の見学をさせてもらったが、それ以前にハノイの渋滞がすごくて圧倒される。
ダナンに戻るさなか、飛行機の搭乗口がいつの間にか変わっていたり、dive outして別の空港に一時的に着陸するなどこいつら大丈夫か?という懸念を植え付けてくれる。
6月の一時帰国時点でロードバイクを持ち込んでいたので、この時期からダナンでサイクリングを始める。
ホイアン方面は平地のストレートで片道30kmくらいでちょうどいいが、日焼け対策をしっかりしないと乾期は日焼けがひどいことになる。
パンクして自転車を押して帰っていたら、知り合いでもないおじさんが「後ろ乗っけてやるよ!」と言ってくれすごく助かった。
ただしロードバイクを担いで、バイクにニケツである。交通法規とは。

2019/08

台湾拠点の内部向けシステム開発の依頼を受け、要件整理のために出張。
台北には深夜についたが、コンビニの光を見て文明を感じる。
あと日本製品がたくさん売っていてついカルピスを毎日飲む。
8月末から乾期から雨期に入り始め、毎日のようにスコールが降るようになる。
だいたい夕方に降るので退社時刻に降らないように祈るばかりである。

2019/09

mohizの友人たちがダナンに遊びにくる。
ホイアン観光ではスコールにぶち当たってしまい、タクシー移動がもはやボートクルーズ状態。
友人が訪問してくれるのは気分転換にとても良いし、補給物資の調達にとても助かる。
ほぼ同時期にミャンマーにいる親父殿が日本帰国に合わせてダナン襲来。
社長を入れて三者面談をすることに。なんで社会人になって三者面談してるんだと思う。
この辺りで社内のネットワークが不安定になって、なぜか社長と情シス的なことをすることになる。

2019/10

本社のプロジェクトメンバーがダナンに出張してきたのでアテンド。
ベトナムメンバーがノリで犬肉を食べさせる。臭みが強くて美味しくない。
月末に担当プロジェクトの新規機能リリースと台湾の案件の初期リリースが被り忙しくて記憶があまり残っていない。

2019/11

月初に社長の娘さんの誕生日パーティーがあるというので参加。
10名を超える多国籍な少年少女相手にどうしたものかと悩み、switchのスマブラを持っていったところ少年少女大歓喜任天堂すごいわ。
中旬にTRPGのオフセッションにオンラインで参加する試みをやってみる。結果Googleのハングアウトが一番安定した。
セッション中から体調に違和感を感じる。
セッション翌日に明らかなおたふく風邪の自覚症状が出る。
月曜日に通訳さんに病院につれてってもらい、検査を受ける。大丈夫だろという判断だったので自宅療養をする。
2,3日寝ても回復する兆しがなく、腹痛もひどいため再度検査。精巣上体炎を併発して入院。
通訳さんが家で食事を作ってくれたが、和包丁を雑に扱うのでキレる。
1週間ほど入院と言われ病院でおとなしくしていたが、台湾の案件などは判断できる人間がいなくなってしまうので社長に引き継ぎをする。
リンゲル液を点滴中にありえないほど発汗したり、熱が41℃まで上がったり夜間に体が痙攣するなど死を覚悟する。
入院中にベトナムメンバーが見舞いに来たいと言ってきて、感染るからこなくていいと伝えると「罹患歴あるか予防接種あるメンバーだけで行くから」と言われる。
感染源が会社のメンバーというのはわかりきっていたので正直顔を見たくないので、「ゆっくり休みたいので来ないでください」と伝え見舞い拒否。
数日後結局見舞いに来て、こいつら何なんだとキレる。
退院後、検査のため日本に帰国。親の飯がうまい。

2019/12

日本から戻り出社開始するも、未だに感染源から謝罪はなく不信感は募る。
口の悪い人事総務のおっさんが精巣上体炎の原因を性病と軽口叩いたせいで日本で変な噂が広まる。
モラルもクソもねぇな。帰国したらコンプラにもしもしするか。
3週間ぶりに仕事をするのと、ベトナム人やおじさんへの不信感でだいぶモチベが低下する。
体調の悪さとメンタルの悪さが連動することを痛感。

生活面での文化の違い

食生活

ローカル飯では外食がめっちゃ安い。
フォーとかは1食150円くらい。
ベトナムの麺料理はフォーくらいしか知らなかったが、結構種類がある。
ダナンなどの中部ではフォーよりもミークアンなどのまぜそばっぽいのが有名。
あと中部の食事はだいたい辛い。その上付け合せのように出てくる生唐辛子をみんな齧っている。
飲み会では一気飲みがまだ全盛期。ただし女性が飲み会で飲酒をすることは稀。
一気飲みをする人を決めるゲームをしようと言われてランダムに人を決めるアプリを使うだけという雑なことをやりだすので、日本のコール文化でも広めてやろうかと思う。
日本料理や洋食は観光客値段だが、一人で食事をする分には3,000円もあれば酒飲んでも十分。
地元のスーパーでは醤油ぐらいは手に入るが、味噌や他の調味料は手に入りづらいので専門のスーパーで入手するしかない。
値段は日本の3,4倍のうえ種類は少ないので悩みどころ。ハノイホーチミンにはイオンがあるので結構入手が容易らしい。

街の様子

Uberは撤退してGrabというアプリが支配的。
事前に料金が決まるのでタクシーみたいにボラれる心配がなく安心。
ドライバーに話しかけられることはしょっちゅうで、お前結婚しているのかなどプライベートなことにグイグイ入ってくる。余計なお世話だ。
よく現地メンバーに「ベトナム人と結婚しなよ」と言われるが、個人の感想としては絶対にゴメンである。
道路はそこそこ整備されているように見えるが、歩道にはバイクの駐車が多く極めて歩きづらい。
また下水などのインフラ整備はろくにできていないため、多めの雨が降るとすぐに冠水する。
建物なども外見は整っているように見えるが、基礎工事をしてない影響だろうか経年で傾いているものが多い。
ベトナム人の朝は早く、6時くらいには多くの人が活動を始めている。
家の斜め前のパン屋が開店セレモニーを6時から始めたときはうるさくて殺意がわく。
総じて善人が多く親切にしてもらえるが、それがありがたいときとそうでないときのズレが大きい。

仕事面での文化の違い

時間感覚

基本的には残業はしない。これはいいこと。
昼休みは基本12~13時固定で、食後はシエスタをする。
頼んだタスクいつ頃終わりそう?って聞くと全くバッファをもたない最速の時間だけ返してくれる。
しかも遅れそうになっても向こうからそのことは報告しない。

会話

基本的になんの話題であるかの前置きをしない。
さらに結論を言わずに詳細を長々と話をするので、何についての詳細を説明されているのか混乱する。
途中で遮ってYes/Noでこちらの質問に答えてくれと言っても、Yes/Noを答えるための説明が始まるので非常にストレスがたまる。
MTG中に個別メンバーに意見を聞いてもリーダーやマネージャーが全てインターセプトして話そうとするのはチームだけの文化か。
学生までの教育内容に少し聞いてみたところ他人になにかを説明するという訓練を受けていないらしく、アウトプットとして説明をすることが非常に下手。
完璧主義というか、問題が表面化するまでコミュニケーションをとろうという人間が少ない印象。
またベトナムと日本はどちらもハイコンテキストな言語体系ではあるが、省略される部分が大きく異なる。
日本語では「〜について、(〇〇が)(△△を)する」という感じに()の部分が省略される。
一方でベトナム語では「(〜について)〇〇が△△をする」というようになる。
突然席までやってきたベトナム人が上記のように会話を切り出すので、都度「何の話?」と確認が必要になってしまう。

権限意識

(ダナン特有かもしれないが)持ち物や権利の所有権についての認識がほとんどない。
不在時にMTG用のヘッドセットを勝手に別チームのメンバーが使っていて紛失しかける。
リリース作業の都合でベトナムメンバーに本番作業の権限を付与したところ、リリース予定のない日に勝手に本番環境を操作してしまう(しかもマネージャークラスの人間が)。
当然社長激おこ。ベトナム人メンバーの本番作業権限を剥奪する方針になる。

仕事意識

割とお決まりな「言われたことはやる。それ以上のことはやらない。」という認識がほとんど。
このことについては日本的な文化を押し付けるものではないが、言われたことについての確認すら始めの頃はしておらずコレジャナイが多発していた。
確認作業はフローに入れないとダメなんだよという日本では新卒の頃に言われそうな教育をマネージャークラス含めてやることに。
逆に細かいところを決めてもらわないと困ると言われることも。変数名とかファイル名まで聞いてくるなと思う。
赴任当初は成果物の品質という点についての意識もだいぶ低く、正しく使った結果正しく動きさえすればいいという認識。
人間が間違った操作をするなどは基本的に考えていなかった模様。
また上記の説明の話にも通ずるが、どういう意図でその設計をしたかなどが全く読み取れないドキュメントを量産してくれてレビューなどが非常につらい。

まとめ

赴任して半年が経過したが、文化がどう違うのかを認識するのにほとんど費やしてしまった、というのが振り返っての印象。
改善とか効率化っていうのを来期から早くしろと社長からせっつかれる。

明日はアドカレ最終日。
alarkyさんによる盛大なオチに期待しましょう。